2026/08/20 22:50

山梨県内で、特定外来生物である「クビアカツヤカミキリ」が発見されました。

このカミキリムシは、モモやスモモ、ウメ、サクラなどのバラ科の樹木に寄生し、幼虫が木の内部を食害します。被害が広がれば、樹木を枯らしてしまうおそれもあり、特にモモが重要な産業である山梨県にとっては、大きな問題です。

山梨県では緊急的な防除対策が進められ、薬剤による防除も行われています。県内の自治体でも、ウメやサクラなどを対象とした農薬散布が予定されています。

私は都留市で養蜂をしているため、この防除について少し心配しています。

今回、いろいろなところへ問い合わせをしました。

JA、農務事務所、市役所、隣町の役場、畜産関係の部署など、ここ数週間で何度も確認しています。

現在分かっている範囲では、ウメには「モスピラン顆粒水溶剤」、街路樹のサクラなどには「マツグリーン液剤2」などが使用される予定とのことです。

どちらもネオニコチノイド系の殺虫剤です。

もちろん、これらの薬剤は適切な方法や濃度で使用することが前提ですし、害虫防除のために必要な場面があることも理解しています。

一方で、養蜂家として気になるのは、ミツバチへの影響です。

一般的に農薬による急性の被害では、巣箱の周辺に大量の死んだミツバチが見つかることがあります。

しかし農薬の影響については、それだけではありません。

研究や調査では、農薬を含むさまざまな要因が、ミツバチの行動や蜂群の維持に影響する可能性が指摘されています。

ミツバチが減少したり、働き蜂が戻らなくなったりする「蜂群崩壊症候群(CCD)」についても、農薬だけが原因と断定されているわけではなく、ダニや病気、栄養状態、周囲の環境など、複数の要因が関係すると考えられています。

だからこそ、養蜂をしている立場としては慎重にならざるを得ません。

もし巣箱の近くで農薬散布が行われ、その後に働き蜂が少しずつ減っていったとしても、巣箱の前に大量の死骸が残るとは限りません。

「なぜか蜂が減っている」

そんな状態になった場合、原因を特定することは簡単ではありません。

今回、都留市役所の地域環境課にも相談し、散布場所が巣箱から3km以内の場合には、事前に連絡をいただけることになりました。

これは養蜂家として非常にありがたい対応です。

散布日時や場所、使用する薬剤が分かれば、少なくとも事前に対策を考えることができます。

ただ、巣箱を別の場所へ移動させれば解決する、というほど簡単な話でもありません。

養蜂をしている人なら分かると思いますが、巣箱の移動には場所の確保や蜂群への負担など、さまざまな問題があります。

山梨県がモモの一大産地であることも分かっています。

モモ農家さんが大切に育てている木を守りたい。

そのためにクビアカツヤカミキリを早期に防除しなければならない。

その必要性について、私は十分に理解しています。

だからといって、農業を守るためにミツバチや養蜂家が被害を受けても仕方がない、ということではないはずです。

モモ農家さんも守る。

地域の樹木も守る。

そして、受粉や自然環境にも関わるミツバチや養蜂家も守る。

その両方を考えた防除であってほしいと思っています。

幸い、今回は行政の方々にも相談に乗っていただき、何か異常があった場合には東部家畜保健衛生所へ連絡する体制についても確認することができました。

防除による被害が起きないことが一番です。

何事もなく、このクビアカツヤカミキリの防除が無事に終わることを願っています。

そして、万が一ミツバチに被害が出た場合には、その原因をきちんと調査し、養蜂家も適切に守られる体制であってほしいと思います。